第4章

36/85
前へ
/614ページ
次へ
 『ムカッ! なんかいまディスられた気がする!』  「黙ってろディスられてない。てか、むしろ俺はいまの台詞、誉められてると思うぜ?」  『んなにぃ!?』  「その点、そこのキミはすごく稀有な状態ね。使い魔のほとんどは契約に主との〈PhaZ 〉の仲介を申し出るから、互いの意思は声に出さなくても分かるし、そもそも通常の使い魔に発声の機能はない。魔法陣の効率化だとか特定の人、場所の監視だとかそういうサポート面の性能を重視するからね。だからキミ達のような異材が紛れ込むあたり、さすが『セントマリア』といったところかな。天才的ね」   『そ……それほどでもない、です』  「またスケブに戻りやがった……これどういう原理だ?」  「具現化の仕様を変えているんですよ、きっと。通常、一般的な使い魔では一つの形態に絞って顕現するものですが、中には特定の似姿を持たない方達もいらっしゃるそうで。しかし特定の形を持たないということは、その分契約の内容も複雑になりますしそもそも召喚そのものが難しくなります。トップレベルの〈召喚士(サマナ)〉でもなければ具現化は無理でしょうね~~」  「〈召喚士〉ねぇ…………え、なにそ」  ゴス。  「」  「……まぁ、とにかく。使い魔と契約しているひとは大勢いるし、追々授業でも実践的に触れられるだろうし。今はこの程度で十分。それで……」  一通り説明を終えたサシャが、視線を上げる。視線の先は、スケブに戻った鳥を掲げる三つ編み女生徒。
/614ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加