第1章

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もはや人でなしのお手本でしかない。こういう手合いは大概良い死に方はしないものだ。殊に、『ソドム』のそれはえらく顕著だった。 裏切りや密告、身内の売りなんかに手を出せば、そいつは早晩どっかのどぶ川で腐乱するのがスラムの掟。首尾良く生き残ったところで信用もクソも無いし、身寄りも無くなるうえ人も寄らない。 そして路頭に迷う只の人足に成った時、奴等はそれを消耗品として掠めとる。あの若頭は何時だってえげつないし、ついでに無駄もない。 というわけで、星純も一個の手段として、大胆に打って出るわけだ。そのえげつない行為、というやつに。 ーーピンポーン。 「どうも毎度ありがとうございます~~『サラマンダー急便』でーす」 呼び鈴を鳴らしておきながら、律儀に声まで掛けている。ネルとジャックは首を傾げ、まだ開かれていない玄関に目を向けた。 来たか、と。星純は悪どい表情を浮かべる。 「よぉし! これでテメーらともお別れだ! 時間にして1日にも満たないベリーショートな付き合いだったが、楽しかったなんて一瞬も思わないからなゴラァ!!」 「ハハハ、やだなニイやん、ネルとニイやんの仲でしょう? そんなベリーショートネタでネルの髪の毛をイジってもウィットにならないから、地味な萌えぽいんと稼ぎは止めなってwwwwww」 「草を生やすなァ!! とにかく来るな! もう来るな!! 今からす巻きにして遠いどこかオタクの聖地まで宅急便してやっからなッ!!」
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