第4章

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 『急で悪いが、俺の担当する生徒は全員、第3競技場まで集合しろ。時間がとれた。これより選抜実技の代表を決める。繰り返すぞ……』  相も変わらずドスの利いた調子で、なかなか身勝手なことを言っている。喋る内容は事務的で、連絡の要点のみ押さえたような風情のものだけれど、内実の剣呑さは誰もが理解できた。  選抜実技ーー正式には、新入生クラス選抜実技試験。その日取りがあと半月ばかりと迫っていて、しかし我がクラスの代表はいまだ決まってはいない。  どうやって決定するのか、そのメソッドはどうするのか。ここ何日か気にはなっていたけれど、いまの言葉がすべてを解決する。星純は、とりあえずリリーと向き直る。  「第3競技場は……」  「わたしがセージュンくんをぶっ飛ばした所ですね。多少の魔法じゃびくともしない、大変頑丈な競技場です」  「じゃあ、まあ、そういうことか」  星純は納得するように深呼吸して、ゆっくりと席を立つ。周りを見ると、何人かの生徒も同じように、勉強道具をまとめて出口へと歩き出していた。
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