第4章

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 『ハン! アタイから言わせりゃ、あれくらい当たり前だっての! 気が利かない類いの連中が悪いのさ! まったく、オタンコナスだぜ!』  小鳥の悪態を無視して、レオンはヤヨイに目を向ける。俯き加減に、真面とテーブルを見つめているけど、その横顔には少しだけ笑みが見えた。  頬も軽く、上気している様。こういう表情を、人前で見せるのは珍しい。  本人としても、きっと、嬉しいのだろう。レオンはそう思いながら、ヤヨイの頭に手を置く。    「楽しかったか?」  『……うん』  ヤヨイは小さく頷いて、言葉は翼に記される。ノワールの方は納得しかねる様子で、憮然としたまま鼻を鳴らした。  こっちの使い魔はともかくとして、親睦会自体は悪い結果じゃないらしい。二人揃って、同じ感想なのだから、多分間違いない。  「確かに、本当に、良いヤツ等だわ。また会いたくなっちまった」  『ケッ! ほだされやがって。ケッ! ケッ!!』  「……でもさ」  しかし一つだけ、問題点。  いや、問題点というだけなら山ほどあるが、特に問題というか。最新版の案件、常識的にひどく外れた所作、というか。  「左手で握手はナイよな……」  『あーね』  『…………う、うん』  ちなみに、左手で握手する意味は「てめぇまじぶっ殺す!(超訳)」である。
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