第4章

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 星純は無造作に左手を払う。同時に現れた黄色の掌が、動きに合わせて火球を消し飛ばす。  「は?」  「おいおい。こいつらお前の仲間だろ? 当たったらどうすんだ」  作法の無いやつだ。そういう、注意の意味で語りかけたのに、向こうは怒り心頭だとか、完全にキレた宣言と受け取ったらしく。  「う、うわあああああああああ!!」  脇目もふらず真っ直ぐ逃げた。別の教室に飛び込むとか、窓を突き破って飛び降りるとか、何の工夫も芸当も無い。  徹頭徹尾で素人だ。星純は軽く憐れむような視線を投げ掛けると、床面に刺さったままのメイスを手に取り。  即、遠投。緩やかな弧を描き、軽妙な回転で加速しながら、鈍器は逃走中の獲物を捉えた。    ぐえ、みたいな声をあげて、背中に刺さるメイスに倒される男子生徒は、そのまま動かなくなった。痙攣するみたいにピクピクしてるから、死んではいないだろう。 
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