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短い悲鳴を上げて、力なく泳いだ身体はそのまま地面に倒れ込む。軽く、焦りの表情を浮かべたまま、星純は再び自分の後ろを振り返った。
「油断大敵だよ。忘れたの?」
「あ、あぁいや、すまん。助かった」
右手を宙にかざして、サシャは呆れたように告げる。いつかの森での仕返し、とでも言わんばかりに。
まあ、確かに。うら若い女の子をにべもなく宙吊りにしたり、一方的に煽ったりしたのは、軽く反省点ではあるが。
星純はバツが悪そうに後ろ頭を掻いて、サシャは何事も無いようにその脇を抜ける。次いで、見慣れた緑髪が真横に並び。
「セクハラみたいなこと考えてます?」
「なんでそうなんだよ」
「ウフフ♪ いやさか、なんとなくです♪」
いい加減にしろ、と。星純の静かな反抗に、リリーは面白がりながら軽くステップを踏む。
その様子を、先を行き始めたサシャは振り返りもしない。聞いてはいるのだろうけど。星純はリリーの後について、とりあえず歩き始める。
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