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一応、質問のつもり。けれど少しばかり唐突だった所為か、サシャは顔も寄越さないで歩みを進める。
巨大な廊下の、明かり取りとして設えてある大きな窓から、昼時の陽気が灰色い床面を照らしている。斜めから差し込んで、光の梯子みたいな線分を何本か、あちらとこちらの合間を埋めて横たえている。
その本数が多くなって、サシャとの距離が開いているのが分かった。答えたくない質問なのだと、直球で分かりやすく示している。
ふむ、と。星純は仕様がないといった風情で嘆息。
「やっぱり、まだ嫌われたままなのかねぇ」
「わたしはよっぽどのセクシャルハラスメントがない限りは嫌いになりませんよ?」
「いや、まあ、それは純粋にありがとう」
じゃなくて。
「やっぱサシャは根に持ってんだろうな、って。そういう話だよ」
「え……セージュンくんヤちゃったんですか……? わ、わたしを差し置いて……??」
「動揺のあまり変なこと言ってるぞアンタ……! だからそうじゃなくて、アレだよ、裏入学式の時の……!」
「トモダチ発言ですか? アレ変態でしたよね~~」
「じゃねーってッ!」
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