第4章

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 そんな星純の様子に、またも困惑を顔に出すサシャ。分からないのも無理はないかも知れないが、それはそれだ。  星純はサシャの肩に手を置いて。  「良いんだよ、こういうのはテキトーでさ」  「で、でも」  「友達だろ? だから良いのさ」  気楽にいこうぜ、サシャ。  言ってあげる言葉は、これだけで良い筈だ。腑に落ちないような面差しで俯くサシャにも、何時かは分かる時がくる。  一応、此処ではないあちらで、実績が無いこともないのだし。確証はないが、ある種の確信はある。だからこの話は、これでお仕舞いだ。  星純の、そんな悪戯っぽい微笑みに、サシャは長いため息で答えた。納得まではまだまだ遠いとする、自覚的な意味合いとして。  「分かったよ……キミがそう言うのなら」  答えてから、リリーはサシャを解き放つ。色々と、不満が溢れそうなサシャはリリーを見遣るけど、緑髪の彼女はニコニコと正対するだけ。  「ん? なんでしょうか?」なんて言ってのける厚顔なリリーに、サシャは全ての無駄を悟る。渋面やら呆然やら、色んな感情が頭をよぎった後に、残されたのは力なく首を振るアクションだけ。
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