第4章

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 我ながら、要領を得ない回答だ。具体性が皆無、と言っても良い。  けれどいま、考えている作戦を話したところで、まるで理解されないだろう事も分かっている。だからそれを話す必要もないと、星純は考えた。  リリーは勿論、納得はしなかった。眉間にしわを寄せ、怪訝な様子で星純を見つめる。  あるいは、心配されているのかも知れない。そういえば、最後に見たあの子供らの視線も、こんな具合だったか。  星純は、その事について何も言わない。感じ入るものが無いわけではないけれど。  その代わりに、別のことを聞くとする。  「そういえば、なんでさっきサシャを後ろから羽交い締めにしたの?」  「だって色々オイシイじゃないですか! ほら、ボン! キュッ ボン! が強調されますし! サシャちゃんスタイルがすごく素敵ですしッ!!」  「…………あ、あぁ、そ」  初めから、リリーの心配に応えてやれば良かった。後悔しても、時は既に遅いけど。
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