第4章

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 辺りをぐるりと、目配せ。すると、なるほど。確かに他にも幾つか変わっている点はある。  上の観客席、高さだけで2メートルはありそうな土壁の上に鉄格子がプラス。空間を仕切る楕円のそれに、小さな覗き窓がちらほら。  何故か分からないけど黒板まである始末。それに何より、観客席にはすでに人影がまばらに見えている。  おまけに鉄格子のてっぺんに止まる数羽の鳥は、あれは使い魔か。  「一通り、理解しただろ? 選抜実技のレースは既に始まっていると言って良い。今のうちに、上のお歴々方の覚えをめでたくしときな」  ま、かんけーねぇけど。と最後に言ってしまうあたり、教師的な資質を少し疑う。この段階で、生徒のやる気を削ぐのは、あまりよろしくない筈だし。  というかそもそも、格好からしてそうだったか。口には出さないでおこう。  「じゃあまずはセージュン。お前あとで覚えてろよ」  「いや何も言ってないじゃん!? 思ったけども!」
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