第4章

70/85
前へ
/614ページ
次へ
 そう告げる教師の目は、ゆらりとも揺るがない。ただ公然の事実を言っているだけ、だから何の負い目も無い、とでも言いたげな光を見せる。  当たり前のことだ、と。自分や他人を差配する、その意思も命も含めて。  そんな、冷然とも感じる言質に、佇まいに、しかし周りの学生たちはまるで動じない。いや、ここで怖じけるような人材は、そもそもから入学も出来ないに違いない。  武者震いのように身体を強張らせる、緊張した表情のまま固唾を飲む、あるいは本当に微動だにせず。星純が見るに、中には嬉々とした空気を漂わせさえしている。  これが、〈セント・マリア〉に属することだと言わんばかりに。そんな空気を感じて、ニコニコと表情を崩さないリリーはどこか満足げだ。その理由は、まあ聞かないでおこう。  「わたしのおかげで場が盛り上がる……快感ですね♪」  「いや今聞かないでおこうと思ったんだけども?」  今度は流石に口に出していないはず。なのでやはり、人の心を読み取る魔法でもあるらしい。
/614ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加