第4章

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 なんとも、自由度の高い話だ。ここまでくると、その有り様は無責任に近い。星純は、そんな月並みな感想を抱くと、不意に身体が軽くなっているのに気付く。  見ると、さっきまで覆い被さっていた巨岩は姿を変えていて、元の小石が傍らに落ちているだけ。それを確認して、星純はすぐに立ち上がった。  その上で、改めて見るクラスの面々。流石にこの段階だと、やたら昂っている連中が多くなるらしい。  やる気か、闘志か。声に出ない、無言の気勢に当てられ、星純は空間の温度が若干上がっているのを感じる。そんな全員が、武者震いすら無く、只々教師の言葉に耳を傾けていた。  「ハハ、良い面魂じゃねぇか」なんて、不敵な笑顔で教師は答え。大仰な仕草で、木刀を振りかぶり。  「ーー試合開始だ。存分に暴れな」  
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