第4章

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 「ええ~~? じゃあ、せめてわたしと当たるまで負けちゃ駄目ですよ? 本選ではセージュンくんを盾……もとい囮……もといフラグ、か何かに利用するつもりなんですから!」  「言い切ることじゃないよねそれ!? 軽く「貴方を殺します♪」みたいなこと言ってるよね!?」  「と、に、か、く! 絶対負けちゃ駄目ですよ! 今後の為にも! 絶対ですからね!」  そう力強く言い放つリリーは、直後に空中へと飛び出していく。ここまで執拗に勝ちを勧める以上、何か彼女にも考えがあるのだろうけど、その内容を知ろうとも思わない。  星純は改めて、まわりを見回す。あちらこちらと、既に激しい戦塵と爆音が我鳴っている。  その渦中を躍動するクラスメイト。大分、楽しそうに見える。  それは勿論なのだろうと、星純は思う。多くは十代で、そこから見える世界というヤツは、きちんと新鮮で、煌めいているのだろうから。ならば楽しいのも無理はない。  それは勿論、星純も存分に覚えのある所感だ。でも、それではしゃぐ道理がない。  というか、たった今それが消え失せた。  唐突、自分へ向けて迫る石柱が、目の前に現れたから。
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