51人が本棚に入れています
本棚に追加
/614ページ
とにかく、取り繕ってでも平静を保たねば。そうでもしないと昨日のように暴走しそうなので、星純は視界をドアの外に戻す。
儀礼的に、低姿勢に。提案する。
「……あの、お茶でもどうですか」
「あ、スンマセン。ちょっとこれからすぐ次のお宅に行かなくちゃならなくて」
「あ……そうですか、はい」
そろそろ、膝から崩れ落ちようかな。星純は遠い目をしながら考える。
続いて、これからの事だ。
「オラァア!!」
勢いと声を張り上げて、星純は教室のドアを蹴り開けた。引き戸だったら確実に壊れている衝撃だが、幸いにしてこれは観音開き。
頑丈そうな木の造りで、他の場所に比べて装飾も慎ましい。だから壊れたとしても大丈夫、という訳ではないけれど、しかし蹴らずにはいられないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!