51人が本棚に入れています
本棚に追加
/614ページ
「良く理解できないだけだ……! なんでそんな監督職を、入学したての学生にやらせんだよ。しかもアンタみたいなのに」
「ふむ……そういえば、学院のシステムについて説明しませんでしたね。分かりました、良いでしょう」
思案顔を数瞬だけ浮かべると、いつもの微笑みが唇に戻る。今度は流石に嫌みも抜けて、よく見知った種類の笑みだった。
「じゃあセージュンくん。デートしましょう♪」
「は?」
「大丈夫、奢ります」
それが問題ではない気がする。しかし、残念ながらリリーの言葉には強制力があるのだ。
実行力、と言い換えても良い。だから拒否権は無いので、自らには渋い未来しか待ち受けていないわけだ。
星純は盛大に顔をひきつらせ、リリーは手近の机に水差しを置いた。コトリという音が誰もいない、半すり鉢型の一室に響いて、早朝の冷たさを嫌でも感じ入る。
最初のコメントを投稿しよう!