第1章

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*** デート、という現象が世の中にはある。いや、あるらしいという、推量の意味を込めて。 端的にその内容を説明すれば、男と女が一緒にごはんしたり遊んだりごはんしたり買い物したりごはんしたり遊んだりするらしい。 概ね、ジャンク屋の運転手の謂いではこういうこと。セオリーとして男女はサシ、例外として「ダブルデート」なる、男女二組ずつ揃って遺恨しか残さない外法があるらしいが、それはまた別の話だ。 で、こちらのデート作法はというと。 「とう!」 「あっ、ぶねぇよ馬鹿ァ!!」 とりあえず、斬りかかる事から始めるらしい。 全体のリードをあちらに任せたのがいけなかったか。エリスを置いた教室を出て、まだ人影も疎らな廊下を抜け。 広大な城の中を揚々と、上がったり下がったり戻ったり落っこちたり吹っ飛ばされたりしてたら、やたら風景の乏しい更地ーー天井が高めの、風通しの良い屋内グラウンドの様子ーーに出て、そこから開口一番。
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