第1章

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「始めましょうか、ね?」 そして、もはや見慣れた大剣が、もう何度目かの星純へ向け降り下ろされる。都合三回目の筈だけど、これは逆説的に三回も殺し損なわれている、ということである。 やはり、リードを任せるべきでなかった。「主導権は男が握ってる方がトキメクんだぜ!? 何故かってとオメェ、愛があるからよォ!!」とかあの運び屋は言っていたけど、違う意味でそうしなかったことを星純は後悔する。 「まず第一に! “委員長”の仕事は危険が伴うのです! 威力査定とか問題児の制圧等々! ですので確かな実力を面接の時点で提示しなければなりません!!」 「ちょ、ま、首筋を狙うな!」 「更には的確な判断力、決断力! それらを支える実行力に裏打ちされた、明確なヴィジョン!!」 「いま目ェ抉ろうとしたよな!? 明確に切り取ろうとしたよな! な!?」 ステップの軽快さは相変わらず、むしろ速度が増している気がする。攻めも鋭い。 身体中に纏い付く風が、スラスターのように彼女の動きを助長して、反撃はおろか退き時のタイミングさえ掴ませない。一見して、うっすらと微風が流れているだけのリリーからは、次の動きを予測することも難しい。 「何より! 1クラス単位100人を代表するには、それなり以上の統率力と効率性が求められる職務! それがクラス委員会会長! 通称“委員長”なのです!」
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