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「いや待て! 風で逃げ道塞ぐのはナシだろッ!」
「ですので責任重大! 職責優先! なればこそ、ここで剣を奮う意味もあるのです!!」
「く、この…………白刃取りしなきゃどうなってると……! あと意味が分からん!」
「それはこちらの台詞です!」
剣撃に次ぐ剣撃に、星純の選択肢は文字通り切り詰められ。最終手段で一か八か、女の子の細腕が繰り出すとは思えない速度の一刀を、どうにか真剣白刃取りで受け止め応対。
もう後がないのは理解しているから会話ではぐらかそうとすると、今度は逆に言い切られる。直後に、リリーが脱力。
受け手との拮抗は破られ、星純の体勢が崩れる。そこにすかさず、リリーは懐へ潜り込んだ。
剣の溜めは作らず、刀身は肩に担いだまま。だからある種の打突として、柄頭が星純の鳩尾より下に食い込む。
星純の顔が一瞬歪み、リリーは表情を暗くする。星純は与えられた衝撃に従い地面を転がるが、すぐに体勢を立て直した。
「避けるとか受けるとかが上手ですね。しかも今のは、わざと打点をずらしましたね……わたしの剣を見せすぎましたか?」
「殊勝なこと言うなよ…………こちとら追い詰められっぱなしだってのに」
「ならば、使って頂けませんか?」
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