第1章

47/91

51人が本棚に入れています
本棚に追加
/614ページ
意味の分からない会話、星純は首を傾ける。 「叩き出す? 怪我を?」 「まあ、怪我をひとつの〈PhaZ〉の反応と捉えた場合、そいつをどっかの何かに移し変えるのがオッサンのやり方なのよね~~で、実際に治癒魔法は人により千差万別なのよ。オッサンが独特なのはご愛嬌な?」 片目を眇たまま、親方は人を喰ったように答える。自分からタネを説明してくれるのはありがたいけど、モノが厄介なことに変わりない。 つまり、要約してしまえばこういうことだ。傷を負った反応、そのものを無かったことにできる技術。まさしく、魔法の領分。 ここまで来てからでなんだけど、最早なにが起ころうと驚かない。こっちの世界に、『ソドム』の理屈が通用しないのは重々分かった。 物理法則まで度外視するのは、流石にやり過ぎだと思うけれど。とはいえ、懇切丁寧に教えてもらって礼の一つも差し上げたいけど、そういえば親方の名前を聞いていなかった。 「なんですって? アジールホールドからのバーンスープレックスなんて贅沢な治癒魔法を頂いてよくも呆ける暇があったものですね? ちなみ命名は、彼の名前から取ったわたしの功績ということで♪」 「初めて名前知ったけどそんな風に知らされたくなかったんだけど!?」 「これくらい普通の自己紹介ですよ? 不屈の治癒魔法士! 〈治療士(ヒーラー)〉!! アジール=バーン! みたいな!」
/614ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加