第1章

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恐らく、泡を吹く暇もなく脳内がパンクしたんだ。これは流石に、正直に可哀想なことをしてしまった。 「ああ~~…………大丈夫かエリス?」 心配そうに覗き込むと、星純は肩に手を掛ける。容態の善し悪しはともかく、派手に倒れたし脳髄の方にダメージが無いとも言えない。そういう、紳士然とした気配りだった。 「ただいま戻りました~~いやいや、朝はやっぱりお店も空いててかなりスムーズにーー」 息を飲む音。 バサリ、これは紙袋を落とす音か。で、向こうからーー星純の背中側から見た風景を考えてみよう。 倒れる幼女に、汗ばんだ様子の男が覆い被さる図。リリーは現状を正しく把握する。 「わ、わたしとは遊びだったんですね!!」 「それもうなんか色々違うから!! 泣くぞいい加減!!」 もう勘弁してくれ。心の断末魔を、この女の子が聞く耳を持つか分からない。 とはいえ星純も、声を張り上げなければいけない状況だ。というよりも、言い訳が必要な状況とでも言うべきか。 リリーは全てを把握した上で糾弾し、何か泣きの演技まで交えて真に迫っている。エリスは言わずもがな、目も開けない。 老婆はいなくなっていた。それこそ、音も影すらも残さずに。
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