第1章

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学生というのは難儀なもので、入学が決まったからといって悠々自適に過ごすわけにはいかない。これからの備えが必要になる。 雨風を凌げる寝床を確保し、それなりに浮かれ気分だった星純は、替えの一張羅と共にリリーからこう告げられた。 『ではこれから必要なものを買いに行きますか! いや行きますよセージュンくん!』 強制らしい。まあいいけど。 星純はようやく起き上がったエリスを確認すると、まっさらなワイシャツの襟を正す。ゆるゆるのネクタイをそのまま移植して、これで今まで通りの居姿が完成。 といっても、ここ3日くらいの話だけれど。気持ちの上では、そろそろこのフォーマルな加減にもなれていい頃か。 『とにかくまずは! 筆箱買ったり教科書買ったりその他諸々揃えたり! まずはリストの作成からですかね!』 張り切りすぎて逆に張り切ってるリリーを薄ぼんやり眺めながら、星純は思い出す。質問、とか素っ気なく言って片手を挙げるのは、せめてそのハイテンションとバランスを取るため。 『出世払いは使えないんですか?』 『ははは、何を言って、、、、、えあっ! ハァアアアアアア!?』 結果、どうにかバランスを取ることには成功した。何かこう、遺恨を残すものはあるけど。
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