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「ミツも失礼だぞ。「にゃん」じゃなくて「ちゃん」が良いんだ、この人は」
「そうそう。龍二郎にゃんはそれが好きだね」
「いや、違う。なんか違ってる」
「何も違わないよ? にゃん。僕はほら、先進的なヤクザマフィアだから……にゃん」
「取って付けたように……!」
「にゃっ、にゃっ、にゃ。そういうのもアリにゃのだよ。はっちゃん」
「笑うなミツ!…………いや、笑ったんだよね?」
「ああ、そうか。ハチくんはそんなにニャンニャンしたいのか。ならどうぞご自由に、仲良くね?」
「絶対意味合ってないだろ! なんかヘンな使い方しただろあんたッ!」
会話を初めてたったの数十秒。雰囲気も無く、ここ十何分かばかりの意地が崩される。
そんな最初からペースは掻き乱され、ハチは上げたくもない絶叫まで引っ張り出される始末。どうしてくれようかと、握りこぶしを造る前にまずは立ち上がり。
「ああ、ようやく立ったね。ありがとう、あ、間違えた、ありにゃとう」
「言い直さないの!」
ーーとにかく、この薄ら汚い悪だくみには屈しない。そう心に誓ったからには、ここで体育座りに支えられた意地は潔く捨てていく。
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