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「先々の事を考えた場合、この大会はエラく重要なものになるだろうな。軍属、研究職関わらず、奴等は青田買いが滅法得意だ」
覚えはメデたい方がいいだろ? そう言って、教員はひどく凶悪に笑った。そんな所作じゃ生徒から避けられないか、ちょっと心配になる怖さ。
「それにな、これは“天覧試合”でもある。ここで自分の業前を披露したいとか思わないか?」
とりわけ、この一言が場をざわつかせた。しかも怪訝や、驚きに声を上げるような性質のものではない。
刹那に、空気の引き締まるような揺らぎ。ざわざわとした音色は、まるで武者震いのそれに近い。
もちろん、星純には分からない。だから今度は間違えないよう、声を落としてリリーに聞く。
「……なぁ、テンランジアイってなんだ?」
「え、知らないんですか……? えっ、、、、、、知らないんですか??」
「点を増やすなハテナを付けるな2回も聞くようなことじゃない。さっさと教えろ」
バレる前に。
「いやですね、教えるもなにも……」
そしてまたチョークが飛来。一度目とまるで変わらぬ角度と位置で、的確にヘッドショットをかますリーゼント。
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