第1章

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何故ならこの様に、空中へ白線を描くチョーク(弾丸)が、こうして眉間に突き刺さるのを未然に防ぐ為である。不用意な発言で、自前の頭蓋を割られたくはない。 「…………」 だけど、どうだろう。現状を的確に説明すれば、何時の間にか回復している━━次いでに言えば、ドヤ顔感満載の笑顔を向けたナッシュベルが、コンマ数秒だけ目が合った後、消え失せる。 そして衝撃が走り、衝撃音が木霊し、教室の後ろ壁には大穴が一つ。丁度ひとが一人、すっぽりと収まりそうな空白から、だらりと同じスラックスを穿いた両足が見えた。 「あー、、、っと……そいつはナッシュベル・E=ヴァンフラムって言ってな。今みたいに少々陽気? なヤツだから。良い奴だから、多分。恐らくだが、仲良く出来ると思うぞ、仮定の話で」 鋭く尖った眼光はなりを潜め、気まずそうに眉尻が垂れる。冷や汗の一滴はおろか、根本的な威圧感さえ変わらないのは凄いけど、やはりこの教員もヒトではあるらしい。 「……加減間違えたなぁ」 唇の動きで分かった。なるほど、じゃああれか、彼はドジっ子ヤンキーか。 「いま失礼なこと考えたヤツは後でシバく」
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