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「忌み名です、そうそう名前全ては合致しませんが、しかし音調から連想できなくもない。彼の国、わたし達が『ジパング』と呼ぶその土地では、貴方のような語調で名前を付け呼び合います。土着の風習ですし、この慣例は今も変わっていないとか」
「なら問題ないだろ。自前の名前を名乗らせろ」
「その暗殺された継承者……王族が、ここ『アルビオン』の方だとしても、ですか?」
すらりと流れたリリーの目が、星純の視線とかち合う。ある種の冷淡を秘め、真っ直ぐに。
たじろぐという程ではない。けれどしっかり、込められた意図は察する。
自己紹介は三列目を過ぎた。星純は視線を逸らし、四列目に突入した連中に目を向ける。
ギルバートが話していた。姉も居るとは━━当然だけれど━━知らなかった。
「80年、だっけ? だったらそれなりに昔の話だと思うが?」
「だからこそ、人々の心根に深く残る事柄もあります。特に『アルビオン』の王族は、民から絶大な支持と信頼を得ていますので」
「名前が似てるかもしれない、ってだけじゃないか。おれ以外にも同じ様な名前はあるだろ?」
「その方たちが使うような善後策を、わたしはセージュンくんに紹介しています」
「アンタや副校長はそんなに気にしてないみたいだけど?」
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