第1章

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「……そんなこと、わかって」 「分かっているようには見えないね」 「な、なら諦めろってこと?」 「選択肢のひとつだね」 「まだ、まだ生きてるかもしれない、ガレキに埋もれて動けないのかも……」 「そんな程度の問題を、彼が解決できないと思うのかい?」 「じゃあ……! じゃあもう、兄ちゃんの事は忘れろってのか!? オイラ達の恩人だぞッ!」 「何時までも居ない人間に思い煩わされるのは、ちょっと健全ではないという話だよ。特に、君らみたいな年端のいかない子供はね」 「こ……のォ!」 「はっちゃん!」 怒りに我を忘れる、そうまでされて黙っていることは出来ない。ミツは、それを察した。 「…………もう、帰ろうよ」 帰ろう。ミツは言う。身体中が包帯まみれのままで、切実に。 正真の涙声で、だ。けれど、いまの状態も、状況もすべてひっくり返せば、それはこういう意味になる。
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