第1章

91/91
前へ
/614ページ
次へ
「っていうかそもそもアンタの所為だろこれ!!」 「だからうっせえ」 ああ、まったく。もう叫んだり騒いだりしないと決めたのに、だのにこれだ。 本日三度目。今までと同じく、しかし最短で、空中に綺麗な白線が弾道を描くそれは、星純の眉間へ過ず照準されていて。 あぁ、ああもう全く。星純は既に覚悟を決めている。とりもなおさず、それは痛みに対しての準備を済ませている、ということ。 経験上、この程度で大丈夫と、自身のキャパシティへ相談することでもある。なので星純は来るべき鈍痛に眉を潜め、目を細め、そして待った。 そしてチョークが巨大化した。 「ちょ待てゴワバァァアアアア!!!!」 速度はそのまま、コントロールもありのまま。しかしサイズが唐突に、大人の小指大から野戦砲の弾頭並みにまでスケールアップして、威力は随分とずば抜けてしまったようだ。 星純の、派手に吹き飛ぶ身体が弧を描く。チョーク(砲弾)のエネルギーを一身に受けた上半身は、ひどく真っ直ぐに教室の後ろ壁へ突き刺さった。 だらりと、まるで死体のように脱力するスラックス。下腿半身。様子はまるで先に突っ込んだ赤アホ毛とデジャブだけれど、それは死んでも思ってやらない。 代わりに思ってやる事は、ひとつある。久し振りに、いたく素直に、真っ正直に考えた、感想がひとつ。 ━━おれ、こっちの世界じゃダメかもしれない……
/614ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加