第2章

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じゃあそこからものの数分で回復した自分はどうなんだ、とか思わなくもないけれど、そこは大して問題じゃないのだろう。というか、只のチョークを戦車砲弾並みに巨大化させたことの方が、ずっと問題である。 なので、やり玉に上げてみよう。星純は姿勢を正す。 「しかしな、物量を膨らませる魔法とかちょっとデタラメすぎやしないか? 仕舞いには蟻を操ったりしないだろうな?」 そういう博士も居た。居た、気がする。 「アリ? ちょっと何を言ってるか分からないですが、物を大きくする魔法はウェイド教員の〈固有魔法〉なので、常人は真似できません。ご安心下さい」 「コユーマホウ?」 専門用語が多すぎる。いや、こっちでは至って常識的な言葉なのだろうけど。 星純が素っ頓狂に首を傾げ、何気に所作で説明の催促をしてしまう。リリーはそれを見逃さない。実際、目が光った。 「属性も術式も判別できない、その本人にしか操ることの出来ない魔法を総じて指す名称です。こればかりは才能というか、あまりに突出した異常というか……」 「異常ね。見た印象はともかくとして、特に変わったとこは無いと思うけど」
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