第2章

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「勿論、見姿は変わりませんよ。しかし魔法を行使する術式や魔法陣、〈PhaZ〉の流れや反応の仕様など、常人の物と一線を画しています」 うんうん、勝手に得心する様に頷くリリー。しかし、星純は納得いかない。 「そういうのって見てわかるものなの?」 「本人の魔法さえ見れば、大方の〈魔法士〉は看破できます。魔法を修める初歩は、〈PhaZ〉の反応量を身体で覚えることから始めますから。熟達した〈魔法士〉ともなると、一目見ただけで当人の属性や魔法の習熟度を見極められるとか」 「ふぅん。じゃあおれが見て分からなかったのは、まだまだ魔法について未熟だから、ってことか」 「あー…………それは、ですね………………」 「━━無理だ」 と、いきなり声を掛けられた。廊下に人影は未だ無く、見える範囲にあるものは天井を支える石柱だったり、綺麗に手入れされた曲線の窓ガラスだったり。 ので、声の主は視界の外で確定。もっと言えば、声は自分のすぐ後ろからだ。 「貴様に魔法は使えない」 「おいおい、またお前かよ」 続け様に、振り向き様。それぞれの行動が見事に被ってしまい、星純は少し呆れてしまった。同時に、自嘲じみた笑みも浮かべて。
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