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それからは俺も必死だった。
パパになるんだ…
仕事も今までより一生懸命取り組んできた。
お腹の膨れてきた妻のサポートも献身的に行った。
日に日に大きくなっていく妻のお腹に俺ら夫婦は幸せな未来が近づいていく気がしていた。
全ては順風満帆のはずだった。
しかし…
「正直に言います。もしかすると奥さんか子供、どちらかを選択しないといけないかもしれません」
は……?
「ど…う言うこと、ですか…」
突然の医師の宣告に俺は驚きを隠せなかった。
「奥さんの身体が出産に耐えられるかわからないのです」
頭の中が?で埋め尽くされる。
思考ができないぐらい頭の中が混乱している。
妻の身体が少し弱いことはわかっていた。
しかし突然命の選択をさせられることになるとは思ってもいなかった。
「つまり…妻は…子供を産まないと、言うことですか?」
混乱する頭の中なんとか言葉を絞りだす。
「いえ、あくまで可能性の話です。
ただ…母子ともに健康な可能性の方が低いことは確かです」
そんな…頭の中に大好きな妻のあの笑顔が浮かぶ。
恵美かこれから生まれてくる子ども…
どちらの命が大事かなんて…決められる訳がない…
「酷な話だとは思います。しかし堕胎するなら早いほうがいいです…今日一日考えてみて答えを出していただけますか?
堕胎するか可能性を信じて出産なさるか…」
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