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「恵美!!」
勢いよく開けられたドアに妻は驚いた顔をしてこちらを見る。
俺は肩を上下させて必死に息を整えながら妻を見つめる。
「あなた…どうしたのそんなに慌て」
妻が言葉を言い終える前に俺は妻の元へ駆け寄り力強く抱きしめていた。
「ごめん!俺…お前が辛い思いしてても何もしてやれない…けど…俺は信じてるからな!
お前が…恵美が出産することを決めたんだ。だから俺はたくさん頑張れって言うし、辛い時はいっぱい甘えてくれていい…
だから…だから…絶対に3人で幸せに暮らそうな!」
せっかく拭いた涙が再び溢れ出す。
男がこんなに泣くなんて本当に情けない話だ。
「もちろんだよ。私とあなた…そしてこの子。
3人で暮らすんだよ、これからずーっと」
妻はそう言って俺を抱きしめ返す。
妻の身体はまた震えていた。顔は見ていなかったが泣いているのがわかった。
それからしばらく俺らは抱き合いながらえんえん泣いた。
そしてその日以来俺は妻の前で泣かないことを決意した。
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