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ゆっくり30分ほどかけて朝食を食べ終えた頃、セーレが口を開いた。
「我が王よ、来客でございます」
「随分タイミングいいな」
「ああ、いえ、来客は朝食前にあったのですが待たせております」
当然の様に語るセーレに何とも言えない顔を浮かべる。
「待たせてるって中でか?」
「いえ、外で 」
「そ、そうか。ところで今日って確か雪が降っていたけど」
「日本列島を寒波が襲っているようですね、風邪をひいては大変なので今日は外出は控えて部屋の中でお過ごし下さいませ」
「あ、はい」
来客が外で寒さに体を震えさせていようと、どうでもいいと清々しい顔で言い切ったセーレに何とも言えない顔になる。短い付き合いだが、この執事服を着た女性は主である光と、その庇護下にあたる神子以外は眼中になく辛辣だ。
「とりあえず会うから中に入れてやってくれよ。どうせ日本政府の役人か何かだろうし。お茶の用意も頼む」
「……かしこまりました」
笑顔で一礼をして去っていくセーレを見ながら神子はボソリと呟いた。
「セーレ、すごーいやそーだったね」
「わかりにくいけど、わかりやすいんだよなぁ、あいつ」
「お茶なに持ってくと思うー?」
「キンキンに冷えた水道水かな。そっちは?」
「氷」
「え」
「だから氷」
零度を下回る外で30分も待たされた挙句、出された飲み物が氷のみとはゾッとしない話である。まさか、そこまでしないだろうとは思うが何はともあれ。
「俺も用意するかね」
「じゃあ私ねるー、いてらー」
「気楽なお子様だな。まあ、いいや、いってきます」
マイペースな神子の声を背に光も部屋を後にした
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