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三人は、社長が女検事さんと、縁りを戻したがって居るという見解で一致。様子を見る事にしたのだが。
「おい、真梨子。遣りにくくないか?」
心配して聞く早見に、軽くウインクした。
「チョット楽しみじゃ無いの。あの“氷の女”が社長を相手にどの位溶けるか、見てみたいじゃない」
そんな真梨子の言葉に、男二人は酷い奴だと言って笑った。
それからの六日間は、とても恥ずかしくて語れない。
高彬が、離してくれない。
警護スタッフが面白そうに私達を見ているから、益々恥かしい。
家政婦のキヨさんが、高彬と私がまた一緒になれたと今はカナダに住んでいる彼の両親に知らせてしまったから、さあ大変。
糠喜びさせて本当に申し訳ないと思っているのに、高彬のやつ!今度も何か企んでいる様で危険な匂いがする。
一日中、高彬に捕縛されて捕虜同然の身。自由など何処にもない。
その上、あろう事か夜の眠っている間に、指に大きなサファイアの指輪が嵌められていた。そして翌朝、高彬の企みの正体が分かった。
朝食の席で、全員の前で私を抱き締めて言ってのけたのだ。
「今日から婚約者だ」
「これでまた僕だけの環だ。今度こそ離さないし、逃がさないよ」
全員から“おめでとう”を言われてしまい、別荘内では既に有罪確定。
「このままでは、うっかりして居ると軽井沢の教会のどれかに連れて行かれて、花嫁にされそうで怖い」、と環は言う。
何か今一つ決心がつかない様子だ。環の、“氷の女”として戦ってきた日々がどれ程苛酷で厳しいのものだったか、それと無く窺い知れる。そんな気がした。
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