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俺達はトマトニアカンパニーの見学にやって来た、そうあの赤くて丸いトマトをどうやって作るかの会社ではなく、トマトの未来について研究している研究所である、見学者は僕、黒田小路(くろだ、こうじ)18才とちびっこの拓真廉(たくま、れん)10才だ、拓真とはここに来て知り合った男の子だ
程なくすると係りの人らしき女性が
「トマトニアカンパニー所長の鷹野菖蒲(たかの、あやめ)です、今回は宜しくお願いします」
白い白衣にワイシャツと茶色ズボン姿の、人の良さそうな印象の所長が、にこりと微笑み軽く頭を下げる
「はい、黒田小路です」
「はーい、拓真廉10才です」
菖蒲先生はすぐに
「君達がトマトを思い描くとき、頭にイメージするものは?」
廉君が声変わりしていない声で
「うーん、やっぱり、赤くて丸いトマトです」
「僕も同じなんだけどトマトは嫌い」
菖蒲さんは微笑むと
「じゃあ、トマトって、どうやって作られるか知ってる?」
僕が答えた
「いや、種を植えて、トマトを収穫する位しか」
廉君が元気良く
「トマトはお金で買うんでしょ?」
菖蒲さんは
「うん、そうだね」
所長の鷹野さんは一呼吸置くと
「君達はそれ位かも知れないけど、トマトケチャップやトマトの缶詰め、トマトジュース、野菜ジュースにも一部使われたり、サラダや他にもピザのトマトソースや料理に使われているんだよ」
僕はトマトと言われて、ピザのトマトソースは思い浮かばなかった、けど……
「あっ、ピザはトマト嫌いでも、大好きです」
廉はもじもじしながら
「僕は生トマト甘くて美味しいと思います」
更に僕は廉君に言うように
「確かにトマトって、野菜のヘルシーや栄養豊富なんて、イメージも繋がってるな」
「そうそう、君達が、表面から汲み取れる情報はその辺かな、他にあるかな?」
他にと言われても嫌な記憶しかない
「あのさ菖蒲さん、僕はトマト嫌いになったのには、あの青臭いドロドロした所だけ嫌いで、果肉は普通に食えるんだ、でもアレルギーじゃないからね」
「うん、うん、苦手なら苦手で良いんだよ、果肉だけ食べられるなら上等」
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