四通

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”今日は良い天気だね、元気?  手紙の理由については了解。  優香の文字書き方からして、高校生で、髪色は金髪寄りの茶かなってイメージした。  ちなみに、俺もそんな感じの色。  そんでもって、専門学生で、夜はバイトをしている。  趣味は特に無かったから、これからこの手紙が趣味になるかもな。  優香は部活とかしてるの? 趣味はある?  とりあえず、今日はこれでおしまい。  これからよろしく。文通相手”  ・ ・ ・  ポストに投函後、今日も学校と仕事を終え、俺はゴミ捨て場を見に行く。手紙が落ちていたので、それを拾って帰宅した。  ・ ・ ・ ”良い天気ですね、私はそこそこです。  意外でした。金髪のお兄さんが、こんな綺麗な文字を書いて、その上文章の指導までして下さるきめ細かい方だなんて。  私は明るい茶髪ですよ。でも、染めたとかじゃなく、お母さんからの遺伝で。  勉強して、バイトまでしているなんて偉いです! お仕事お疲れ様です!!  恥ずかしながら、私は部活とかしていないんです。  そもそも、学校に通うこともあまり無いから。  だから、案外話せることが少ないのかなぁと思います。  でもでも、たまに外に出ることがあるんです。  だからその時は、しょうもないことばかり話すかもしれませんが、どうか聞いてやって下さい。今多優香”  ・ ・ ・  確かに、普通に考えて、金髪ホストがこんな手紙流暢に書かんわな。  俺がこんなに文章に細かいのは、俺の親父が作家を志して何度も何度も作品を投稿していたからだ。まぁ、その作品達が日の目を見ることはあまり無かったが。  文章に細かかった親父が、俺にも良い文章を書いてほしいと、作法や見せ方などを少し教えてくれたのだ。  そんでもって、母親の手紙の行間とかを見て、これが綺麗な手紙の書き方だと感じていたからなのかもしれない。  それはそうとして、学校に通っていないと言うことは、病気か何かなのだろうか。それとも、引きこもり……?  少し聞くのにためらう話ではあるが、何でも話し合える仲って言ってたんだ。これくらい聞いても良いだろう。  俺は、次の手紙で思い切ってみることとした。
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