6人が本棚に入れています
本棚に追加
”今日は良い天気だね、元気?
手紙の理由については了解。
優香の文字書き方からして、高校生で、髪色は金髪寄りの茶かなってイメージした。
ちなみに、俺もそんな感じの色。
そんでもって、専門学生で、夜はバイトをしている。
趣味は特に無かったから、これからこの手紙が趣味になるかもな。
優香は部活とかしてるの? 趣味はある?
とりあえず、今日はこれでおしまい。
これからよろしく。文通相手”
・ ・ ・
ポストに投函後、今日も学校と仕事を終え、俺はゴミ捨て場を見に行く。手紙が落ちていたので、それを拾って帰宅した。
・ ・ ・
”良い天気ですね、私はそこそこです。
意外でした。金髪のお兄さんが、こんな綺麗な文字を書いて、その上文章の指導までして下さるきめ細かい方だなんて。
私は明るい茶髪ですよ。でも、染めたとかじゃなく、お母さんからの遺伝で。
勉強して、バイトまでしているなんて偉いです! お仕事お疲れ様です!!
恥ずかしながら、私は部活とかしていないんです。
そもそも、学校に通うこともあまり無いから。
だから、案外話せることが少ないのかなぁと思います。
でもでも、たまに外に出ることがあるんです。
だからその時は、しょうもないことばかり話すかもしれませんが、どうか聞いてやって下さい。今多優香”
・ ・ ・
確かに、普通に考えて、金髪ホストがこんな手紙流暢に書かんわな。
俺がこんなに文章に細かいのは、俺の親父が作家を志して何度も何度も作品を投稿していたからだ。まぁ、その作品達が日の目を見ることはあまり無かったが。
文章に細かかった親父が、俺にも良い文章を書いてほしいと、作法や見せ方などを少し教えてくれたのだ。
そんでもって、母親の手紙の行間とかを見て、これが綺麗な手紙の書き方だと感じていたからなのかもしれない。
それはそうとして、学校に通っていないと言うことは、病気か何かなのだろうか。それとも、引きこもり……?
少し聞くのにためらう話ではあるが、何でも話し合える仲って言ってたんだ。これくらい聞いても良いだろう。
俺は、次の手紙で思い切ってみることとした。
最初のコメントを投稿しよう!