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”ジェイクのこと、褒めてくれて有難う。
ジェイクにもね、光さんのことは教えているんだよ。
それと、会いたいって話のことなんだけど……。
あのね、会いたいのは山々なんだけど、実はお父さんから急にお話があったの。
私の体を手術するのに、しばらくアメリカへ行くって。
だから、会いたくても会えないんだ。
それどころか、お父さんは、手術の間は手紙送っちゃ駄目だって言うの。
だから、手紙を送ることも出来なくなるかも……。
私から十通続けたいって言ったのに、本当にごめんなさい。今多優香”
・ ・ ・
翌朝、拾った手紙だ。
手術、それもアメリカか……もう暫くは手紙を出せそうに無いな。彼女が良くなることを祈って、手紙はしばらくやめにしよう。
手紙を小箱にしまった直後、マンションのチャイムが鳴った。
「光~っ、おっはよ」
「……よくものこのことやって来れたな、玲子」
玲子はニヤニヤと笑い、辺りを見渡す。
「今日は手紙無し? もう飽きられちゃったの? ふふ、流石は、あんなこと平気で書けるガキンチョね」
「……あんなことって?」
「え、い、良いじゃない、別に!」
俺が尋ねると、玲子は唇を尖らせて顔を逸らした。
「とにかく、あの子はその程度の女ってことよ」
「いいや、違うね」
「違わないわ」
「いいや、違う!!」
「どうしてそんな強く言えるのよ!」
「好きだからだよ!! 彼女のことが!!!」
思わず出た言葉に、玲子どころか、俺まで驚いた。
好きって……あれだよな? 癒されるとか、そう言う……多分。
しかし、この言葉は玲子にはよく聞いたらしい。彼女は目を見開いた後に頬を膨らませると、俺のテーブルをひっくり返したり、冷蔵庫を倒したりと目茶目茶にした。
「もう、アンタなんて知らない!」
捨て台詞のような言葉を吐き捨て、玲子は逃げるようにマンションを去っていった。……良かった、あんな野蛮な奴と付き合い続けなくて。
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