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”有難う。嬉しい! 本当に嬉しい!!
文通相手様から会いたいって言ってもらえて。
あ、折角名前教えて貰ったんだから、名前で呼ばなきゃですよね、光さん。
光さん、光さん、光さん。
会うまでに、名前呼ぶの練習しなきゃ。
お父さんやお母さんに、許可を貰ったら、すぐに会いに行きますね!!
猫ちゃんの写真も有難う御座います、光さん、大好き!!
……なんちゃって。今多優香”
・ ・ ・
「これ、本当は貴方が会いたいって手紙くれた時に送る予定だったらしいの。もう一回同じ文章書いて送る予定だったのよ。でも、急遽父が手術しに行くって言ってね。それは送るのやめて、手術のことを書いたみたい」
「そう、だったのか」
涙が止まらなかった。この愛らしい文章を書く女の子が、どうして……。
「光君、そんなに泣かないで。優香が悲しむわ」
「……泣くに決まってんだろ、だって、だって……」
「……光君。此処よ」
美香が扉を開いた。その瞬間、俺の目に飛び込んできたのは――。
――茶色い髪の、中学生くらいの女の子だった。
「……君は?」
「え、えっと。今多優香です。お兄さんはもしかして……」
ぎゅっと抱きしめていた。生きてて良かった。その一心で。
優香は始め驚いていたが、俺が光であることを察すると、背中にそっと手を回した。
「光さん、光さん、光さん。上手く、呼べてます?」
「ああ、上手いよ。優香」
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