一ベル 模擬戦

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『作戦はさっき伝えた通りだ。行くぞ!』  ジェラルドの掛け声に力強く呼応する二人。  その後、ゲッツェの乗るロスは大通りの目立つ場所に出る。ビアンカの乗るグリーゼは通りを見渡せるビルの屋上に登り、機体を伏せて小銃を構えた。ジェラルドは自分の乗る、接近戦用にカスタマイズされた、赤いグリーゼを移動させる。  背中には、刀身に高熱を発生させる《溶岩刀》と呼ばれる武器を構えている。  相手の防御を無視して斬りつけられる愛用の刀で、接近戦では無類の威力を持つ。  ジェラルドは神霊の性能を、十分に発揮するためビルの物陰に隠れる。  ロスを囮にして相手を誘い込み、ビアンカの威嚇攻撃で自分の所まで誘き寄せる。後は三体で協力して相手を叩きのめす。単純だからこそ、最も効果のある作戦。 『目標ハダル。東二〇〇〇。高速道路より一直線でロスに向かっています』  ビアンカの念話が飛んでくる。 『威嚇射撃開始――!』  ジェラルドの命令に応じて、ビアンカは中性子砲の照準を見詰めた。  十字の端に三角が組み合わさった照準は、高速道路を直進する金色の神霊ハダルを捉えていた。     
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