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ある少年が言った。
「オレは、序盤から中盤までのグダグダをすっ飛ばして、終盤から始めていいとこ取りをしたい」
神はこれを聞き入れ、代償として少年の名前を「太郎」に変更するのだった。
ゆえに、序盤から中盤までの経緯やらフラグを把握しているのは、太郎と神だけである。
終盤のイベントはもちろんラストダンジョンの踏破およびラスボス討伐。
さらに、好感度が最大になっていたら、本命のあの子とハッピーエンドが待っている。
気がつくと、太郎は街の入口にいた。
『トーラスの街』と言い、スタート地点でもあった。
月光に照らされて、のっぺりとした三角屋根のシルエットが浮かび上がる。
中世ヨーロッパの街並みに似ている。
冷たい風が静かにふいていく。
「あっ、熱!?」
太郎は慌てて地団駄を踏んだ。
愛用のスニーカーが真っ黒に焦げていたのだ。
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