お父さんへ

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お父さんへ ずっと不思議でした。 どうしてこんな手紙を寄越したのか?と、でも今なら良く解ります。 私は今までお父さんの事もお母さんの事も怨んだ事はありませんでした。 むしろ愛していました。 ──── 今迄は。 お父さん、謝るのは私ではなく、私の主人とその身内ではありませんか? 主人と結婚し、漸く恵まれた愛しい子達。 ─── 貴方にとっては可愛い孫達の筈。 助産師やお見舞いに来てくれた方達が皆、顔をひきつらせながら口々に『可愛い』と言ってくれる我が子達。 だけど、皆さん帰りしなにボソリと呟くんです。 『美味しそう』って。 確かに私の目から見ても『食べちゃいたいくらい可愛い』自慢の子達です。 舌舐めずりしながら『早く大きくなってね』と、言われる私の気持ちが解りますか? …………お父さん。 貴方は私を愛してくれたように、この子達も愛してくれますか。
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