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『“ごめんなさい”いや、“御免なさい”の方が良いかな?』
『何を悩んでいるの?』
学校の教室で、教員に書くように命じられた反省文を嫌々書いていたが、反省文に使う表現で悩んでいたら、声に出ていたようだな。
『いや、教員の奴に書かされている反省文なんだけれどさ。表面上は反省してるように見せるには、平仮名で“ごめんなさい”と書くよりも。漢字も混ぜて“御免なさい”って書いた方が、反省をしているように見せ掛ける事が出来るかなと思ってさ』
放課後の教室に残っていた連中が集まって来て、俺の話にお互いの顔を見合わせて。
『“ごめんなさい”に拘る必要はないんじゃないか?。“申し訳ありません”でもいけると思うぜ』
集まって来た一人の提案に、頷く奴もいれば首を横に振る奴もいて。
『“申し訳ありません”よりも、“申し訳御座いません”の方が、重々しくていいんじゃないか?』
別の奴の提案に、今度は首を振る連中の方が多くて。
『“申し訳御座いません”じゃ、完全に時代劇の言い回しだろ。素直に“反省をしています”でいいんじゃないか?』
俺もその意見に頷いて。
『悪くはないな。ただ、“反省をしています”じゃ少し短い気がするから。“心から反省をしています”はどうかな?』
俺の提案に今度は全員が頷いて。
『いいんじゃないか。“心から反省をしています”、あるいは“本心から反省をしています”でもいけるかもな。どうせ教員の奴も、自分は生徒に反省文を書かせるなどの指導を行っていたっていう、実績作りの為だけに反省文を書かせているんだから、表面上文章が成立してさえいれば、それ以上は何も言わないしな』
俺達全員が、その意見には頷いて。
『そうだな、反省文なんか教員の実績作り以外の何物でもないしな。判った、表面上文章が成立するように書く事にする、悪かったな』
教室に残っていた連中が、それぞれに別れると。俺は表面上は反省しているように見える、反省文の作成に取り掛かった。
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