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今更感はあるけれど、僕は知らない建物の中にいた。
さっきまで森の中で法をあつかう練習をしていた。
彼と衝突し、そして気絶した。
トールと名乗る彼が運んでくれたのだろう。
するとドアが開いた。
大変だ、トール兄ちゃん。
そう言いながら少年が息を切らし入ってきた。
トール「どうしたロッテ。そんなに急いで。」
ロッテ「ミモザの里親が決まったって!」
目を見開くトール。驚いている様子だ。
うつむきつつ少し嬉しそうな表情をしている。
どこか儚げに。
トール「そうか、それは良かった。今夜はパーティだな。」
ロッテ「うん!でもまた遠い国らしい....。もうミモザに会えないのかぁ。寂しくなるね。」
トール「でも引き取り手が見つかったのはいい事だ。祝ってあげなきゃな!」
彼はがむしゃらな笑顔でそう言った。
ーーーーーーーー
トールは僕と同い年だそうだ。
それにしてはしっかりしているようにみえた。
この孤児院「ヴァイスキッド」の最年長だからだろう。
ロッテという少年にお兄ちゃんと呼ばれていたけれど、実の兄弟ではない。
孤児院の子供は21人。
身寄りのない子を集め、街の民の寄付金で生活をまかなっているらしい。
クロ「本当にパーティにムーも参加するのか?関係のないものがお邪魔だろう。」
トール「いいんだ。気絶させちまったお詫びをしたい。」
雷様が話に割って入る。
インドラ「そんな事よりお前、どうすんだよ。本当に神の力が欲しくないのか?」
トール「しつけぇな。いらねっつってんだろ。」
すると2人の大人が向こうから歩いてくる。
トール「シュヴァルツおじさん!....ん、この人は?」
シュヴァルツ「あぁ、彼はミモザの里親さ。」
ご挨拶を、とシュヴァルツが言う。
トール「初めまして、トールといいます。ヴァイスキッドの長男です。ミモザをよろしくお願いします。」
?「君がトール君か。話に聞いているよ。私はジャック。隣国からやってきたんだ。と言っても海を渡った遠い国だけれどね。」
ではこちらへ、とシュヴァルツが言うと、トールがぺこ、っと軽く頭を下げる。
クロとインドラが目を合わせる。
ムー「どうしたの?」
インドラが応える。
インドラ「あのジャックとかいう男、くせぇんだよ。嫌な臭いがプンプンしやがる。俺らの嫌いなあいつらの臭いだ。」
クロ「間違いない。彼から発せられていた臭いは....悪魔の臭いだ。」
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