6人が本棚に入れています
本棚に追加
ふぅ。そう言って僕は服に付いた砂埃をはらう。
ムー「あんなところから落ちて生きてるなんて、やっぱり頑丈にできてるんだね、壁の民は。」
クロ「....。」
ムー「そんな事より早くお店に戻らないと!おじさんにしかられちゃう!」
ーーーーーーーー
僕が働かせてもらってるこのレストランは「Blue Bull」
僕のお父さんが営んでいたらしいレストランなのだけれど、今はお父さんの弟、つまり僕の叔父にあたる人が切り盛りしている。
町ではあまり良い評判を聞かない。それはそうだ、美味しくないレストランになんか誰が来る。
そんな事を考えていると、何やら外が騒がしくなってきた。
珍しくお客さんが来たかと思えば....
男「ムー・ブルーマウンテンはいるか!」
こうだ。
僕の日常はだいたいにして良い事は起こらない。
きっとまた不幸を呼び寄せたのだろう。彼が。
誰が止める訳でもなく、僕は十数名の大人の男達に捕らえられ、この大きなお城に連れられた。
ーーーーーーーー
訳も分からないまま閉じ込められて5日が経った。
一応の食料として毎日与えられる残飯。
Blue Bullで出て来る料理の方がいくらかマシだろう。
こんなものじゃ育ち盛りのお腹は満たされない。
すると「ガチャ」と牢の扉が開く音がした。
牢に閉じ込められているというのに、なんて幸福な音なんだろう。そんな事を思った。
またどこかに連れて行かれるといった様子だ。
連れてこられた部屋には、みな僕を拘束した大人達と同じ格好をしている。
その奥、背の高い椅子に座っている大きな男の人。
白い髪の毛に、深紅の瞳。
僕は聞く。
ムー「僕になんの用でしょうか?王様」
最初のコメントを投稿しよう!