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王様の口が開く。
命令、そんな口調で。
僕は今ここで、死ぬ。殺される。
理由はこう。
僕に憑いている貧乏神・クロが欲しい、と。
現王アダム・スカーレットの実の息子であり王子ノア・スカーレットのご所望だそうだ。
僕が死ねばクロとの契約は切れ、クロは野良神となる。
考える。
僕はクロと契約なんてした覚えはないし、神持ちなんかじゃない。
だからと言って、僕が死ぬ....?
なぜ?なぜ僕が、僕だけが?
とたんに憤りを感じた。強い怒りを、感じた。
運命。不運。理不尽。王。その息子。世界。僕。全てに。
そして、こんな運命を授けた、神にーー....。
ーーーーーーーー
地が揺れ、割れていく。ひびの間から激しい光が差す。
その光が集まり木を形作る。
「世界樹....ゴフェル....?」誰かが言った。
?「大地は君が死ぬべきではないと判断したようだよ。おめでとう、ムー・ブルーマウンテン。」
そう、耳元で言ったのはクロだった。
続ける。
クロ「祝福されているんだ。大地に。いや、世界樹ゴフェルに。」
ムー「....??」
クロ「いつもの逆だね。まぁいっか。とにかく、君は今ここでは死ぬべきではないと判断された。私も神、少しばかり力を貸そう。」
クロはそう言うと、僕から離れ、いつの間にか大きくて黒い、暗闇になった。
その姿はまるで深淵そのものなのに、神々しい。
クロ「ムー・ブルーマウンテン。健やかなるときも、病める時も、世界を愛し、慰め、助け、命のある限り誠実である事を神に誓いますか?」
状況が全く読めない。
けれど、死にたくない。
そう、怒り、強く願った。
僕は力を込めてこう言った。
『 誓います。 』
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