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クロ「なんてね。私が君と戦っては意味がない。ここは逃がして貰うよ。」
ゼウス「させるか。」
クロ「マテリアル・キューブβ。またねゼウス、アダム。....アップ・ロード。」
クロがそう言うと、瞬く間に城が、王様が消えた。
のではなく、僕とクロがあの空から消えたようだった。
ーーーーーーーー
知らない風景だ。白い建物が立ち並ぶ。
王都からはすっかり離れた街、国にいる事が容易にわかった。
クロ「面と向かって話すのは初めてだね。私は貧乏神・クロード。君がつけた名前はあながち間違えではなかったね。」
そう言ってクロは、あははと陽気に笑う。
クロ「君は王都から追い出され13歳にしてホームレスになってしまったわけだ。きっと今頃逃亡者として手配されているだろう。貧乏神の私が言うのもなんだけど、不運は続くものだね。」
クロは人ごとのようにまた、笑いを隠さずに振る舞う。
ここでようやく僕は口を開く。
少しイライラした口調で。
ムー「僕はこれからどうしたらいいの?神持ちって何?」
クロ「神持ちっていうのはね、世界樹ゴフェルに認められ、運命に抗う、または世界を変える力を与えられたものの事だよ。」
続ける。
クロ「君は僕と契約をした。そして僕の力を使う事が出来る。限度はあるけどね。もちろん鍛錬は必要だ。何十回も何百回も反復、想像してね。」
例えば、と言いながら僕の足元を見る。
ムー「うわっ」
お城で僕を弾き飛ばした時のように足元に見えない箱を作りだしてみせた。
人から見たら僕は少し浮いてるように見えるだろう。
クロ「空気を集めて圧縮。そして形をイメージするんだ。」
ムー「そんな事言われても....。」
クロ「今日は色々な事が起きた。疲れてるだろうから、力を使うのは明日からにしよう。とりあえず今日はしっかりごはんを食べて、ベッドでゆっくり休む事だね。」
ムー「僕は今ホームレスだからベッドなんてないし、お城に強制連行されたからお金なんて持っていないよ。」
クロ「あ。」
マテリアル・キューブα。ダウン・ロード。
クロがふくみ笑いをしながらそう呟くと、どさっ、という音とともに金貨やら貨幣やらが現れた。
ムー「神様がお金を盗むなんて聞いた事がない。」
クロ「まぁまぁ。今は非常事態。固い事を言うなよ。」
そう言ってクロはおどけてみせた。
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