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序章
?「はぁ....はぁ....この辺りまで来たら大丈夫だよね。」
?「....。」
?「そうやってまただんまりか。元はと言えば君がいけないんじゃないか、君のせいで僕はいつも貧乏クジだ。」
黒いもやの中に光る小さな目。人の顔で言うところの額には三角の布を巻いている。彼はまだ沈黙を破る事はない。
?「まぁいいや。とりあえず早く街に戻らない..と..?」
白い髪の毛、深紅の瞳の男の子。
なぜだか彼に追われて僕は疲労困憊だ。
?「見つけたぞムー。貧民のクセに逃げ回りやがって。」
ムー「なんで君が僕を追ってくるか皆目見当もつかないけれど、何かしてしまったのなら謝るよ。」
?「俺はお前なんかを追ってたんじゃねぇ。俺が用があるのはそいつだ。」
ムー「....?そいつ....?」
?「とぼけんじゃねぇ。お前の横にいるそいつ!神だろ!なんでお前なんかが神持ちなんだよ!」
ムー「あぁ、彼か....。彼が神だかなんだか知らないけれど、彼といて良いことなんて1つもなかったよ?それに僕は神持ちなんかじゃない。いくらでもいるありふれた壁の民の1人さ。」
?「じゃあこの俺、ノア様がお父様の後継になる前に、お前のその神、貰っといてやるよ!」
ムー「別に僕は良いんだけどさ、彼がなんて言うかな。ね、クロ、どうする?」
(足元から何かが割れる音がした。心なしかノアの背も伸びて..?)
ムー「う..うわぁぁぁぁぁああぁあああっっ」
僕の名前はムー。13歳。
次々に降りかかる災難はきっと彼のせいだろう。
僕が追われていた理由。
崖から落ちている原因とも言える存在。
僕が勝手にクロと呼んでいる彼。
貧乏神のせいだ。
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