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加奈子から手紙が来た。
「春」
「なに? 啓太」
「あっちは大騒ぎみたいだ」
「だろうね」
春はくすくすと笑った。
周りのみんなは、俺と春が駆け落ちするなんて想像もしなかっただろうからな。
俺は春の後ろに回ると、その細い肩を抱きしめた。
ホテルの中庭からは、キンデルダイク・エルスハウトの風車群が絵画のように夕陽に染まっているのが見える。
「一生離さない。これからずっと一緒だよ」
俺たちは熱いキスを交わした。
「それにしても加奈子には感謝だなあ」
「えっ。それ誰」
春の目が細くなった。
「え? 加奈子だよ」
「だから誰」
「俺たちを結びつけてくれた加奈子だよ」
春はしばらく考えている様子だったが、やがて笑顔を作った。
「加奈平のことか」
オランダは、世界で最初に同性婚を認めた国である。
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