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婚姻届を手にして、封筒にしまう。
俺の覚悟も……陽菜ちゃんへの想いも……この先、ずっと変わらない……
陽菜ちゃんが、俺を受け入れてくれるか……
それだけが……不安で仕方ない……
湊の待つ車の助手席に座り、シートベルトを締める。
「さて……行くか」
運転する湊を、横目に盗み見る。
ひとりで行けると言った俺に、
『怪我人に無理させられない』
なんて言って……無理矢理車に詰め込まれた。
今日はオフって、言ってたのに……随分、めかしこんでるな……湊の奴……
この後何かあるのか?
自分には、関係ないと……思ってた……
この時までは……
ん……?何か道違くねぇ?
「……って、何で高速乗ってんだよっ!」
「……何でって……その方が早く着くだろ?」
そういう意味で、聞いたんじゃねぇっ!
こいつ……分かってて、返してくるからムカつくっ!
「……どこ行くんだよ?」
「翔の実家」
今何て言った……?
「……どこ……行くって……?」
「だーかーらー……翔の実家!お前、耳悪くなった?」
いや……ちょっと待てっ!
何で湊が、俺の実家に行かなきゃならないんだっ!?
「俺と美桜は、いつ入籍しても構わないと思ってる。翔も、陽菜と結婚決めた時に、ちゃんとお母さんに報告してたんだな……」
しましたよ……しましたともっ!
最初、全然信じて貰えなかったけれど……
で……何でそれを……湊が知ってるんだ……?
「……昨日、翔が婚姻届取りに行くって言った時に、連絡したんだよ……明日、挨拶に行かせて頂きますって……ちよっと、休憩するか……」
そう言って、車を端に寄せ、ウィンカーをつけ、サービスエリアに向かう。
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