STEP 7

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車から降りて、自販機でコーヒー缶を2缶買う湊。 「……ん」 そのうち1缶を、俺に手渡す。 「……サンキュー」 湊も俺も、一言も話さず……缶コーヒーを飲んでいたら…… 「翔くん」 「……ごほっ!……っ!……なっ……何だよっ!いきなり……」 湊から、『くん』付けで呼ばれた後は、ろくなことがない…… 思わず身構えてしまう。 「俺の……本当の息子にならないか?」 ……は……? 本当の息子……って言ったって……湊には、血を分けた息子が3人いるじゃねぇか…… 「陽菜を、浅木の姓にするのが嫌だとか、そういう訳じゃなくて……翔に、音羽を名乗って貰いたい……」 そう言って、湊の視線が、俺の右手に注がれる。 右手を怪我した俺を見て…… この湊が、あんなに動揺するとは……思わなかった…… 桜太くんが呆れるくらい…… 湊のせいじゃない……俺が勝手にしたことだ…… 『俺のせいで、翔の大事な右手を怪我させた……』 湊の代わりに舞子に会いに行くと決めたのは、俺なのに…… 「俺の大事に思うものに……誰にも手出しさせたくないんだ……それもあって、翔のお母さんに挨拶しようと思ったんだ……」 どうでもいい奴には、偽物の笑顔貼り付けてあしらうのに…… 自分の懐に入れた存在には、絶大に甘いんだよな……湊って…… 昔から……そうだ…… 「4つ違いの息子で良ければ、いいよ」 「……マジ……で?」 提案してきて、何でそんなに驚くかな? 「マジで」 つーか、湊の俺の扱いって、めちゃくちゃ軽かったのに…… いつから、こうなった? 「よしっ!翔……記念にハグしよう!」 「……ハグはいいから、早く行くぞっ!」 でも、まぁ……いいか…… 口に出して、今更言えないけどさ…… 俺は湊を……尊敬してるんだ……
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