STEP 4

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防音のスタジオに、雷の音は聴こえなかったけど、近くに墜ちたのか……地響きのような大きい音が響いて、一瞬にして、目の前が真っ暗になった。 自分がどの位置にいるのか……どうすればいいかなんて、分からなくて……呼んでも誰も来てくれない……誰も、気付いてくれない…… まるで……世界にたったひとり、取り残されたような気持ちだった…… それが……数分のことだったのか……分からないけど…… 真っ暗な世界で、どうすることも出来なくて、震えて……ただ泣いているだけ…… あの時……あの時も…… 私を探し出してくれたのは…… 翔くんだった…… 大きい身体が、震える私を包んでくれた。 『俺がいるから、もう大丈夫だよ」 泣いている私の頭を、何度も何度も、優しく撫でてくれた。 『大丈夫!陽菜ちゃんはひとりじゃない!』 お父さんでも、お母さんでもない……無条件に、優しく包んでくれる存在…… その頃から、私…… 翔くんが特別な人になってたんだ…… 中学の時……自分の気持ちが分からなくて…… 翔くんが、会うたびに違う女性と居るのが、凄く嫌で…… 無意識に、避けるようになってた私に…… 翔くんの態度は、優しいままで…… 雷が伴う天気の時は…… 『陽菜ちゃん、今日は寄り道しないで、早めに帰っておいで!雷の予報みたいだから』 徹夜明けの、疲れた顔してるのに……私が登校する時間に、エントランスで、それを伝えるために待っててくれたり…… 雷が鳴って、家に帰れない時は……車で迎えに来てくれたり…… ただ……私を心配してくれていた…… お父さんと、お母さんの子供だったから…… 素直に……ありがとうも言えなかったのに……
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